NDフィルターの基礎を知る
NDフィルターの特徴は?
NDフィルターはレンズからの光量を減らす目的で使われ、減光フィルターとも呼ばれます。
シャッタースピード(以下SS)を遅くしたい撮影シーンで、NDフィルターを使うと以下のような効果があります。
・意図的なブレを表現→滝や渓流などで動きのある表現ができる
・露出オーバー(白飛び)を防ぐ→明るい部分だけ白飛びしてしまう時に使える
・f値を下げられる→ボケ感のためにf値を下げると明るすぎる場合に使える
写真の明るさは、f値、ISO、SSが関わって決まるので、NDフィルターを使うなら関係を復習しておくのがおすすめです。
簡単に言ってしまうと「明るすぎて困るとき」「動く被写体の表現にこだわりたいとき」に使う傾向が多いです。
ではNDフィルターが活躍するのは、どんなシーンでどんな風に撮れるのか。
作例と共に見ていきましょう。
おすすめのシーンと作例紹介
NDフィルターを使うのにおすすめするシーンを5つ紹介します。
①滝・渓流・噴水
一番イメージが湧きやすいのが、動く液体の撮影です。
SSが速いと水滴は止まったように写ります。
逆にSSを遅くすると、水の連続した動きが表現されていますね。
単にSSを遅くするだけでは明るい部分が白飛びするので、NDフィルターを使って光量をコントロールしています。
②空(雲)・海・湖
動きの少ない、空や海・湖の水面は、スローシャッターで撮ると滑らかでダイナミックな表現になります。
40〜60秒程度じっくり時間をかけて撮影すると、迫力のある写真に仕上がります。
開けた場所での風景撮影などにおすすめです。
③花火・光の軌跡
こちらもスローシャッターの代表格「花火・光の軌跡」です。
SSが短いとほんの一瞬しか映らず、光の点になってしまいます。
花火が開く直前から最大に開いた所までシャッターを開きっぱなしで撮ると、美しい光のラインが写るわけです。
花火以外にも車のライトや飛行機など、動きのある光にはNDフィルターが活躍します。
④流し撮り
乗り物の撮影で使われる「流し撮り」は、被写体の背景をわざとぶらすことで、スピード感を表現する技術です。
被写体にピントを合わせ続けながら、移動と共にカメラを動かします。
1/10〜1/30程度のSSなので花火よりは短いですが、NDフィルターを使うことでコントロールしやすくなります。
⑤街の雑踏
人通りの多い場所でスローシャッターを使うと、建物や電柱以外の動くものはぶれます。
それによって人の動きを表現したり、街の雰囲気が伝わる写真が撮れます。
効果的なNDフィルターの使い方と注意点
NDフィルター自体の使い方はとても簡単です。
レンズに装着して撮影する、それだけです。
(後に説明する可変NDフィルターの場合は調節が必要)
撮影時に注意してほしいのは以下の3点です。
①必ず三脚を使う
スローシャッターなので手持ちでは意図しないブレが発生します。
しっかりカメラが固定できる三脚を使いましょう。
②撮影モードは「M」か「A/Av」、ISOは最低値
Autoモードでは思ったような設定になりません。
ISO感度は一番低い値にします。
③NDフィルター装着前にピント確認
暗いシーン又は濃いNDフィルターの場合、うまくピントが合わないことがあります。
事前にピントを確認してからフィルターを装着しましょう。
初めてのNDフィルター・失敗しない選び方
NDフィルターを購入するとき、失敗しないために次の点に注意して選びましょう。
必須なのは「フィルターサイズ」と「フィルターの濃さ」の2点です。
フィルターサイズ
フィルターサイズは他のフィルターと同じく、使うレンズの直径に合うものを選びます。
「〇〇mm、Φ◯◯」のように表示されていますよ。
フィルターの濃さ
NDフィルターの特徴は「フィルターの濃さ」。
「ND16」のように数字で表され、数字が大きいほど濃く、減光する効果が高いフィルターです。
ND2から始まり、ND4、ND8、ND16……と倍数で増えます。
フィルターなしの光量を1とすると、ND2では1/2、ND4では1/4……とどんどん暗くなるわけです。
では何を基準にこの数値を選べばいいのでしょうか?
それは被写体や環境によります!
…と言われても困りますよね。
初NDフィルターにおすすめしたいのは「ND8」か「ND16」あたりの使いやすい種類。
迷った時は少し暗めを買ってもOKです。
このどちらかから始めてみて、慣れてきたら濃さを調整するのがおすすめです。
しかもNDフィルターって実は重ねて使えるんです。
ND8とND16を重ねると8×16=128で、ND128と同等の効果が出ます。
複数買いたくない!状況に合わせて何枚も持ち歩くのは嫌!という方には「可変NDフィルター」がおすすめ。
なんと1枚のフィルターで濃さを調整しながら使える便利アイテム!
「ND8-ND128」のように表記されます。
ややお値段は高くなりますが、荷物も減るので愛用するカメラマンも多いです。
スローシャッターの魅力にハマってみる?
スローシャッター撮影とNDフィルターの関係性が伝わったでしょうか?
様々なシーンで活躍するので、これまでと違った表現がしてみたい方にはとってもおすすめです。
ND番号やシャッタースピードの考え方など。
最初はちょっと難しく思うかもしれませんが、それ以上の効果が必ずあります。
他のフィルターも気になる!という方は「PLフィルター」「その他のフィルター」の記事も、ぜひご覧ください!