写真の原点であり、最もシンプルな表現方法のモノクロフィルム。今回は、モノクロフィルムの歴史やデジタル写真との違いを解説。撮影のコツやおすすめのモノクロフィルムについても詳しく解説します!
モノクロフィルムの起源
モノクロフィルムを私用したフィルムカメラは、のちに「イーストマン・コダック社」を設立する、ジョージ・イーストマンによって始められました。彼は1885年に紙フィルムを製造し始め、そして1889年にセルロイドを使った写真フィルムを発売しました。
固定焦点レンズと一つのシャッター速度による非常に単純な箱型カメラは、瞬く間に庶民にも普及。1936年にコダックから世界初のカラーフィルム「コダクローム」が発売されるまで、モノクロフィルムを使った様々なモデルが発売されました。
モノクロフィルムとデジタルカメラで撮ったモノクロ写真との違い
「デジタルカメラで撮ったモノクロ写真の方が、モノフィルムで撮ったものよりキレイじゃないの?」と考える方もいるのではないでしょうか。
ですが、モノクロフィルムには、フィルムならではのトーンの美しさが表れています。デジタルカメラで撮ったモノクロ写真では、モノクロフィルム写真と同じようなトーンを再現するのは難しいでしょう。
確かにデジタルカメラのイメージセンサーは、画像解像度の面ではフィルムカメラに比べて圧倒的に優位です。ただ、モノクロフィルムのハイライトやシャドウの繊細さは、いくらパラメーターを調整しても完璧に表現はできないと理解しましょう。
モノクロフィルム撮影のコツ
ここでは、モノクロフィルム撮影のコツをご紹介します。テクニックが必要そうなモノクロフィルムですが、ポイントを知っておくと撮影にチャレンジしやすいですよ。
シンプルに撮る
モノクロで撮影するからこそ、その世界観に没入できるのがモノクロフィルムの魅力です。
フィルムカメラのシャッターを切る前に、写真に何を入れるかよく考えてみましょう。あまり物を入れすぎないようにすると、被写体の存在感がアップして印象的な写真になるのでおすすめです。
シンプルな構図の中で、光と影のコントラストを意識して撮影してみましょう。
まずは夜に練習する
景色の色が落ち着く夜は、モノクロフィルムに慣れていない初心者さんにおすすめです。暗くなることで視界もモノクロに近くなるため、モノクロフィルムの世界観がイメージしやすくなります。
「夜の公園」や「街路灯が光る道路」なども、色の要素が少なくなるので、見慣れた景色であってもシンプルに見えますよ。
まずはモノクロフィルムの感覚が掴みやすい夜に練習してみましょう。
失敗しても、とにかく撮影する
カラーが主流の現代では、モノクロに切り替えるのは難しくて当然です。
カメラ初心者に戻ったような感覚になり、撮り方やテクニックが分からなくなってしまうことも少なくありません。カラーでは綺麗に見える風景も、モノクロフィルムだと同じように撮れないことも...。
ですが、失敗したり違和感を感じたりしても、継続して撮影することが大切。「もっと良い写真が撮りたい!」と試行錯誤することが上達のコツです。
おすすめのモノクロフィルム
100年以上もの歴史を持つモノクロフィルム。現在でも購入できるものの中から、おすすめのモノクロフィルムをご紹介します!
Kodak PROFESSIONAL T-MAX 100
ロールフィルム、カラーフィルムなどを生み出したしたメーカー「Kodak」。
「PROFESSIONAL T-MAX 100」は、Kodak社が開発し特許を持っている技術を駆使したモノクロフィルムです。
非常にシャープで再現性に優れたトーンが特徴。微粒子性の高いフィルムが、被写体のありのままの姿を写し出すことを可能にしています。
FUJIFILM ネオパン100 ACROS II
写真、映画用フィルムの国産化に最初に成功した「富士フィルム」。
「ネオパン100 ACROS II」は、世界最高水準の粒状性と立体的な階調再現、優れたシャープネスを備えた超高画質モノクロフィルムです。
風景写真、ポートレートから天体、夜景写真に至るまで、幅広い分野の撮影に適しています。
Ilford PAN F PLUS 50
高品質なモノクロフィルムブランドとして写真家の間でも愛されてきた「Ilford」。
モノクロフィルムの感度別のラインナップも充実しています。
「PAN F PLUS 50」は、豊かで美しいディテール、絵画的なコントラストを兼ね備えたモノクロフィルム。スタジオ撮影や明るい自然光での撮影に適しています。
まとめ
日常生活の中で何気なく目にしているものも、モノクロフィルムで撮影すると一気にアート作品になります。今回ご紹介した撮影のコツを参考に、撮影にチャレンジしてみてくださいね。